2005-01-01から1年間の記事一覧

『歌え!ロレッタ愛のために』〜感想、S・スペイセク賛歌として

【introduction】 シシー・スペイセクがアカデミー主演女優賞を手にした、カントリー歌手ロレッタ・リンの半生を描くトゥルーストーリー。それほどの名作というわけではありませんが、一人の女性の悲喜がじわーっと伝わり、ああいい映画だったなと思わせる佳…

【introduction】 心のすれ違う夫婦が、互いを理解するまでを描いた小津作品。同じディスクに入れておいた歌舞伎六代目尾上菊五郎のドキュメントもいっしょにみました。【review】 ちょうど昨日読み終わった内田樹・春日武彦両氏の『健全な肉体に狂気は宿る…

【introduction】 『フランケンシュタイン』を素材に、小説の技法と批評理論を紹介する知的興奮にあふれた一冊。帯の「理論を知ることによって、直観はさらに鋭いものへと磨かれる」に大いに納得。読んだ後、自分が少し磨かれて尖った気がします。【review】…

前回更新はジョン・レノンの25回目の命日。レノン+ビートルズ特集に関わらず、時々第9とレッド・ツェッペリンと書きましたが、なぜこれが愛機 iriver に入っていたかというと、ものすごく苦戦した大仕事の終わりのテーマとして愛聴しているから。ツェッペ…

『やかまし村の子どもたち』〜永遠でない永遠の時間

【introduction】 『ショコラ』などのラッセ・ハルストレムが、『長くつしたのピッピ』シリーズの原作者であるリンドグレーンの原作・脚本を映画化した、わずか3軒のやかまし村の6人の子どもたちの夏休み。 過ぎ行く夏の終わりに、とみたのですが、そうい…

Sのつく監督 この一本

前回の「子役がかわいい」の投稿を書いていて、以前波平さんのブログ(http://blog.goo.ne.jp/any-body-else7/e/7ec250c494e5f3539a12167ee73d6237)にコメントした「Sのつく監督 この一本」を思い出しましたので、ここにも書き込みます。サム・ペキンパー…

西、イラン、日、中、仏の5本で

本日は、micchiiさんの「愛すべき映画たち」の「子役がかわいい! 募集!!」(http://micchii.blog4.fc2.com/blog-entry-229.html)に投稿した内容を1)『ミツバチのささやき』……後頭部から撃たれるような衝撃的なかわいさ。零細学習塾を営んでいて塾生に…

『さすらいのカウボーイ』〜時代の手法の奇蹟

【introduction】 ピーター・フォンダ監督&主演によるニューシネマ、新感覚ウェスタンなのだそうです。放浪していたフォンダが、落ち着いた暮らしをしようと一度は去った妻子のもとに帰り農家を手伝うが、親友が悪漢に捕えられ……というストーリー。 どちら…

【introduction】 カナダ出身の女性シンガーの97年リリースのベスト。まったく知りませんでしたが、J-WAVEで秀島史香嬢が推薦していたM4 Adia をきいて気に入り購入しました。 何度かききましたが、 Adia 以外はあまり印象に残らず。シンニード・オコナー…

『きれいなおかあさん』〜中国社会が変わる時

スン・チョウ監督 2001年中国 90m. NHK-BSで収録 9月14日観【introduction】 中国の代表的女優コン・リー演じる母親の、耳に障害を持つ息子への愛を描いた感動作。普通小学校への入学のためにあの手この手を使って奮闘する母の姿は悪くはないと思いますが、…

吉田修一著『ランドマーク』講談社 ブックオフで購入 9月7日読了【introduction】 吉田氏の作品は芥川賞の『パークライフ』以来。大宮に建設中のスパイラルビルの建築家と鉄筋作業員、2人の生活を交互に描き、ビル同様にねじれていくイメージがクライマッ…

『プレイタイム』〜仏映画史上最高の製作費で描かれた“不思議なほのぼの”

ジャック・タチ監督 1967年フランス 125m. NHK−BSで収録 9月8日観【introduction】 『ぼくの叔父さん』のジャック・タチが当時フランス映画史上最高の製作費をかけてつくられた70ミリ大作コメディ。 ストーリーを紹介するのは難しいですが、タチ映画でおな…

『かげろう』〜静かな夏の森と戦時の緊張感のコントラストで描く心の漂い

2003年フランス アンドレ・テシネ監督 95m. 8月11日観 WOWOWにて収録 H015【introduction】ちょっと苦手なA・テシネ監督作ですが、エマニュエル・ベアールにひかれて観。『8人の女たち』のメイドは異彩を放っていたし、ハリウッドスター目白押しの『デブ…

【introduction】 同年生まれの重松氏の作品は数冊読んだだけですが、次回が最終回の毎日新聞連載http://www.mainichi-msn.co.jp/kurashi/bebe/shigematsu/ など小説以外の仕事にも敬意を感じています。 12月にSABU監督で映画化もされるという本作は、家…

『東京暗黒街・竹の家』〜“日本の映像”の謎

【introduction】 曲者S・フラーが日本で大々的なロケを行ったシネマスコープ大作で、ヘンな日本描写で国辱的とまでいわれたそうです。 ストーリーは、軍需列車が強盗に遭い、米国捜査官が東京に巣食う闇の組織に潜入するというもの。 「国辱的」といわれれ…

『夜行列車』〜おしゃれでサスペンスフルな列車映画の傑作

【introduction】 『尼僧ヨアンナ』で名前だけ知っているカヴァレロヴィチ監督作をみるのは初めて。イマジカで特集をやっていたのを3本収録し、時間の都合でこれをみたのですが大収穫でした。 『北国の帝王』はじめ列車映画に傑作多。本作も、移動、複数の…

『マイケル・コリンズ』〜リアリティを呼ぶ愛すべきちゃちさ

【introduction】 『クライング・ゲーム』のN・ジョーダン監督が描くアイルランド独立運動の英雄の伝記。恋愛あり、友情あり、裏切りありの盛りだくさんの内容で、思ったより普通のつくりです。ジュリア・ロバーツも驚くほど普通で控えめ。なおタイトルに「…

【introduction】 スカパー解放デイにクラシカジャパンでオンエア。10年くらい前かNHK−BSでやっていたのを、当時フジの『音楽の正体』や『キーボード・マガジン』のセミナーで音楽理論を学んでいたこともあって興味深くみたので、ただでみられるならと…

『パンチドランク・ラブ』〜“合わない笑い”をどうするか

【introduction】 『マグノリア』のP・T・アンダーソン監督の最新作。アダム・サンドラー演ずる、多くのうるさい姉に囲まれたさえない、しかし時々怒りを抑えられなくなる男が、エミリー・ワトソン演ずる姉の友だちに恋して、という風変わりなラブストーリ…

『ミリオンダラー・ベイビー』〜端正な名作。しかし何かが足りない

【introduction】 ブログ開設以来初めて劇場でみた作品で、もはや説明の必要もない今年度アカデミー作品賞受賞作。あえてストーリーを紹介すると、イーストウッド演じる老トレーナーが強引に入門してきた女性ボクサーを育てるスポーツ・ヒューマンドラマです…

『僕のスウィング』〜“マヌーシュ・スウィング”と甘酸っぱい10代の恋の幸福な共演

【introduction】 ロマ(ジプシー)の文化をドキュメンタルな手法で描いてきたトニー・ガトリフ監督が、10代の恋を綴る。 シリアスな復讐劇『ベンゴ』は大好きでサントラも持っているほどですが、こうしたせつないけれど幸福な映画がつくれるとは意外。他作…

『新人生論ノート』木田元著・2005年集英社新書【introduction】 ハイデガー研究の第一人者である日本哲学の重鎮が、もはや古典といえる三木清『人生論ノート』の方法論で書く。むしろ人間味あふれるエッセーの趣き。こういう風に歳をとれたら、とは思う。【…

【introduction】 うなるオルガンプレイと頭の高いところに響き渡るハイトーンボイス。もはや元トラフィックというべきかどうかのスティーヴ・ウィンウッド、ソロ、1977-86のベスト盤です。 スペンサー・デイヴィス・グループ、トラフィック、ブラインド・フ…

『死刑台のメロディ』〜三つの時代の“理想”

008 1971イタリア ジュリアーノ・モンタルド監督 NHK−BSで収録【introduction】 1920年代“アメリカ史の汚点”、サッコ=ヴァンゼッティ事件の映画化だそうですが、不勉強にもこの事件についてはまったく知りませんでした。 イタリア移民であり無政府主義…

【introduction】 今や英国を代表するロックバンドの6th。名作2ndの後はいいところ少なく、3rd以降はいつももう買わないと思ってきたが、今回もアマゾンの割引券をもらうために1枚買わなければならなくなり購入。 ほかのアルバムをきいたことがない人は…

本日は番外編。 先日、長い友人Iからなぜか突然、「『この歌のこの歌詞はすげえ!』と思うヤツをいくつかあげてくれ」と頼まれました。「何だ」ときくと、「私的な文章の参考にする」とのこと。凶暴につき、いうことをきかないと次に会う時こわいので、仕事…

【introduction】 リヴァプール出身、膨大な過去の音楽からの遺産を継承する英国ロック界期待の若年寄の3rd。 早くいえば昔っぽいサウンドだから意外に、邦楽ならクレイジーケンバンドら昭和歌謡復興組のファンにはいいかも知れません。【review】 と、音…

『恋愛日記』 〜おしゃれで、変態で、おかしくて、切なくて

007 1977 フランス F・トリュフォー監督。スターチャンネルで収録【introduction】 おしゃれで、変態で、おかしくて、切なくて……。脚フェティシズムを持った女好きの日々をつづる。 邦題からあまいラブストーリーを期待してはいけませんが、ラブだけはもう…

【introduction】 元・レッド・ツェッペリン、ロバート・プラントの新作ソロ。 ワールドミュージック志向全開です。【review】 私にとって、ZEPといえばまずJ・ペイジ。なのでそういえば、ペイジのいないプラント名義のアルバムを買ったのは初めてです。 もう…

『夕陽のガンマン』 〜重機ATM強盗のルーツか?

006 1965、イタリア、監督:セルジオ・レオーネ WOWOWで収録【introduction】 一世を風靡したイタリア製西部劇、マカロニウェスタンの傑作。最初、あまりに疲れた時にみて不覚にも寝てしまい、数週間後観了。 私もこの分野はあまりみていませんが、“かっこよ…