2006-10-01から1ヶ月間の記事一覧

ボストン・グレイテスト・ヒッツ―"A band we'll never be"

何を隠そうボストンは、高1の時に行った初の外タレコンサートで武道館。今は北海道で医者をやっている中高の同級生A君と繰り出したのだった。 2nd "Don't look back" を出した直後の最盛期。トム・シュルツのゴールドのレスポールや名前は忘れたボーカル…

熊野純彦『西洋哲学史―古代から中世へ』―思考の言葉の美をそのまま味わう

著者のねらいは、おそらく単に「西洋哲学史」の紹介なのではない。誰がどんなことを考えたということでなく、誰がどんな言葉を使ったかということ、その哲学の思想とともに言葉の美しさをそのままに、哲学詩として読者に味わってもらうことだったのではない…

『ニュー・ワールド』―画面に残されたうねるようなワイルドネス

寡作で知られるテレンス・マリック監督作品といえば、ストーリーとはまったく関係なくはさみ込まれる静かな自然描写。その特異な編集感覚は、戦争映画『シン・レッド・ライン』で血なまぐさい戦いのすぐそばにそういう生き物たちの営みが行われているという…

ベル&セバスチャン "The Life Pursuit"―切なく甘酸っぱく清々しい“軟弱頑固”

日本で、いや世界のどこでもそうだろうがベル&セバスチャンのファンといえば、好きな人ならわかる大体共通するイメージがあるはずだ。押しつけがましくなくはないけれど自分の世界は持っていて感傷にひたりがちで悪くいえば線が細く軟弱、どちらかというと…

青木奈緒『うさぎの聞き耳』―「文は人」

幸田露伴を祖に、幸田文、青木玉さんと続く名文一族の同い年作家。奈緒さんの存在を知ったのはNHK教育でやっていた祖母晩年の随筆『崩れ』の道筋をたどる仕事のドキュメントで、同い年だということで途端に親近感を持った。1963(昭和38)年は「卯年」で…

『スーパーマン リターンズ』―踏みとどまる技術の矜持

【introduction】 いわずと知れたアメリカンヒーローの古典。高校生の頃か1と2は劇場でみて、非常によくできた娯楽作という印象は残り、数年前にあるムックで1の紹介原稿を書いたこともあります。やはりC・リーブスはアンフォゲッタブル。【review】 C…

ダミアン・ライス "O"―生涯の秋の一枚

今きいているのが二度目だけれど、きっと生涯のベスト50に入る一枚。今日からしばらく何度も、多分来年もそのまた次の年も、ずっと特にこの秋から冬にかけてよくききそうだ。ニール・ヤングの『アフター・ザ・ゴールドラッシュ』、ハイ・ラマズの『ビート・…

町田健『チョムスキー入門』―いいたい放題の、正しい「入門」

確か『先生はえらい』でだったか内田樹氏が、本でおもしろいのは「入門」だと書いていて安心した憶えがある。たまたまそういう時代だったか、学生の頃は翻訳とはいえドゥルーズだのロラン・バルトだのの本人の著作を大体古本屋でも高い金を払って読んでいた…

『隠された記憶』―初心者がみる上級者の碁のような

【introduction】 『ピアニスト』でカンヌ審査員特別グランプリ受賞のミヒャエル・ハネケ監督は本作では監督賞受賞。夫婦役にダニエル・オートゥイユとジュリエット・ビノシュという豪華な顔合わせ。自分たちの生活を映したビデオが送られてきたことから、夫…