2006-08-01から1ヶ月間の記事一覧

酒井邦嘉氏の著作に触れて驚かされるのは、何よりその「わかり方」によってだ。 私は「わかりやすくわかる」ということを、あまり信じることができない。そのため「わかり方」を語ろうとして、かえってわかりにくくなってしまいがちだ。そんなこともあって、…

『ふたりの5つの分かれ路』―映画的にもっとも甘美な共犯としての“裏切り”

フランソワ・オゾンに惹きつけられるのは、その精神の怪物のごとき強引人工性とそれで現出される映画的リアル、だからこそ身につまされる奇妙な肉体的な感覚ゆえのこと。私の中で、前者は『クリミナル・ラヴァーズ』の車が去るシーンの物語から隔絶した2人…

現役ロック界でレディオヘッドは特別の存在だ。 毎回新しい要素に挑戦しながら、決してクオリティが落ちない。個人的なベストは90年代ベスト2の一角97年の "ok, computer" だが、たとえば "Amnesiac"の "Life in a glass house"での大胆なジャズ解釈などは…

71:29〜『健全な肉体に狂気は宿る』内田樹・春日武彦

実に期待値の大きかった両名の対談は読んでびっくり。 ともに複数読んだことはあるが、その中では内田氏では『先生はえらい』、春日氏では『不幸になりたがる人々』が、どちらもその年のベストといっていいほど印象深い。内田氏の美点は圧倒的ともいえる明快…

映画にとっての「泣ける」

ちょっと前、以前に「日本語の歌詞」(http://blog.goo.ne.jp/quarante_ans/e/9137d88bec032434d17bfd5a4619429d)の件があった高校の同級生I君から、「泣ける映画5本あげてみてくれ」とメール。忙しかったので「後で」と返信するもさらに要求があったので…