【introduction】
うなるオルガンプレイと頭の高いところに響き渡るハイトーンボイス。もはや元トラフィックというべきかどうかのスティーヴ・ウィンウッド、ソロ、1977-86のベスト盤です。
スペンサー・デイヴィス・グループ、トラフィックブラインド・フェイス、ソロなどある程度はきいていましたが、やはり03年の個人的ベスト3入りした About Time がすばらしく、フジロックでお姿も拝見しました。
悪くはないけど、初めての人にはやはり About Time かトラフィック時代をすすめます。

【review】
まず一聴。やはり80年代サウンドにやや辟易してしまう。なんかこう、パワーステーションみたいなスネアの音だなという感じ。
大ヒットした Higher Love も当時はまあいいと思ってきいていた。ロバート・パーマーをよくきいていたから、パワーステーションも嫌いではなかった。けれどもこうやって自分が学生時代を過ごした80年代サウンドをきいて、うーん、やっぱり魅力ない音だったなあと思ってしまい、それは悲しい。80sブームというが、リアルタイムできかなかった若い人には新鮮かもしれないものの、当時新しい音としてきいていた世代には、少し古臭くきこえてしまうのだ。
理由は、普遍性を持たないリッチさに違いない。例えばビートルズも当時のロックサウンドをリッチなものに変えたが、普遍性備えたサウンドは今後も古びることはないだろう。
普遍性があるかどうかはその時代ではわからない。そしてCG全盛の最近のヒット映画も、20年経つと80年代サウンドと同じような古び方をするように思える。
とはいえ、バックがどんなサウンドになろうとも、ウィンウッドの歌声やプレイぶりに変わりはない。何度かきいてそのことを確認すると、この「ヒャッヒャッ」とか「ズダン」「カンカン」といった音がなくなると、こういう風になるはず、とバーチャルな楽しみ方もできるようになったのは収穫。

"Chronicles / Steve Winwood" 1987リリース disk Union で中古盤購入。