『恋愛日記』 〜おしゃれで、変態で、おかしくて、切なくて

007 1977 フランス F・トリュフォー監督。スターチャンネルで収録

【introduction】
おしゃれで、変態で、おかしくて、切なくて……。脚フェティシズムを持った女好きの日々をつづる。
邦題からあまいラブストーリーを期待してはいけませんが、ラブだけはもうあふれんばかり。もっとも主人公は、「あなたには愛がない」といわれています。
ディオールも名を連ねるローブ中心のファッションも楽しく、スカートの揺れる裾の下はどれも個性的に踊っていて幸福な気分になります。

【review】
あまりにかっこいい『突然炎のごとく』、魂の叫びがきこえる『大人は判ってくれない』のようなシリアスな名作で知られるトリュフォーは、『私のように美しい娘』など極端な人物を描いた不思議コメディも得意。まあ、これをコメディとしてみるにはかなりの余裕が要るでしょうが。なお、極端な人が主人公でシリアスな『アデルの恋の物語』も名作です。
作中、編集者たちが主人公を変人扱いしていますので、当時のフランスでもやはりこれは極端な人らしいのが、安心のような残念のような。こういう変な、常人の理解を超えた愛し方が排除されるばかりでは、いい世の中とはいえません。
原題は直訳では「女たちを愛した男」ですが、字幕も『恋愛日記』で統一。邦題もこのタイトルでイメージされる世界に対するパロディなのでしょうか。
増村保造好色一代男』とともに、男恋愛遍歴映画の日仏おかしな二大傑作に推挙します。