『陽だまりの庭で』 〜シリアスでなく描くシリアスな戦争

1995、フランス、監督/フィリップ・ド・ブロカ NHKBS2にて

【introduction】
まぼろしの市街戦』などで奇妙な戦争のかたちを表現したブロカ監督の遺作で、本作でも“シリアスでなく描くシリアスな戦争”が、95年作という新しめの映像で語られる。

【review】
まぼろしの市街戦』『リオの男』『カトマンズの男』『おかしたおかしな大冒険』というブロカ監督作はいずれも大好きで、
それだけに楽しみにしてみました。
結果、この監督の奇妙な感覚の秘密が、表現の方向は大きく違っても、たとえばロベール・ブレッソンにも通じる、具体的な描写にあるということに初めて気がつきました。風船シーンやカタコンブなどのおじいさんと孫娘の楽しい“遊び”、そうしたものの積み重ねが、父親の銃殺シーンのような悲惨さを浮き上がらせています。
おもしろさからいえば、やはり60〜70年代の作品の方が上。しかし、「この監督の作品にとって歴史的な意義がある」というフレーズが、旧作でなく新しい方の作品にもあるということに改めて気づかされました。